りょう

コンペティションのりょうのレビュー・感想・評価

コンペティション(2021年製作の映画)
3.2
 邦題とポスタービジュアルからすると、華やかな映画業界の物語かと思いきや…。かなりひねくれたアプローチで映画制作の裏側が描かれていました。
 「それって演出の効果あるの?」と思えることばかりを2人の俳優がやらされるリハーサル風景は、ほとんど監督の自己満足か愉快ないたずらかというレベルです。そもそも大富豪がなんのこだわりもなく出資してスタートした映画だから、興行的に失敗しようと彼女には関係ないし、予算も時間も贅沢にやりたい放題といった雰囲気がいいです。かなりデフォルメされた殺風景な現場の描写も印象的でした。
 3人が受賞した映画賞のトロフィとかを粉砕機にかけるところは、まさかパルムドールまで…。ここが象徴的な場面でしたが、映画の批評を風刺していても嫌味な感じはありません。これがハリウッド映画で、オスカー像を…という展開だったらもっと刺激的だったと思います。
 神妙な表情で臨む映画祭の記者会見では、傲慢で嘘つきで自己中心的なフェリックスが相手役だったイバンをリスペクトしても、ほとんど説得力がありません。それを記者たちが真剣に記事にしようとしているのなら、ほとんどフェイクニュースのレベルです。
 やっぱり、これはハリウッドでリメイクすべき作品です。ペネロペ・クルスつながりで、しかもオスカー無冠の彼が監督役だったら…なんて意地悪なことを思ってしまいました。
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