ペジオ

アビエイターのペジオのレビュー・感想・評価

アビエイター(2004年製作の映画)
4.3
操縦は前を見て 前だけを見て

まずもって面白い
「スコセッシは人殺しの映画だけ撮ってろよ!」っていう偏った愛情からか、何故か観るのを後回しにしてたのだが、それを後悔したぐらい面白い
ハワード・ヒューズの金にも命にも糸目は付けない「映画に狂った男っぷり」を描いた導入から無条件に心を掴まれてしまった
「好きな分野で誰もやったことの無いことをやりたい」という動機は魅力的だし、その実現の障害となる古い慣習や既得権益にしがみつく者たちとの戦いは素直に応援したくなる
未来を見据え、「前」だけを見つめ続けたヒューズ氏の「横顔」に男性女性問わず惹かれてしまうのは必然かもね(序盤に登場した部下たちに最後まで出番があるのは、今思えば仲間が集まっていく様でアガる。彼の偉業を自分の事の様に喜んでくれるブランシェット様はホントイイ女。)

実行力やエキセントリックさの部分で自分とは違い過ぎる(あと総資産も)彼に「憧れ」と同時に「共感」も抱けたのは何故なのだろう?
実際のヒューズ氏の人生もそうなのだろうが、映画的にも「スムーズに上手くいきそうなところで、呪いの様な強迫観念が顔を出す」
それが無ければ夢追い人のサクセス・ストーリーとして観客もすんなりと受け入れられるのに、チョイチョイ入るそれが良くも悪くも「ノイズ」になってくる
その「ストレス」こそがヒューズ氏の生涯感じていたものと同じであったなら、観客と彼の感覚を「同期させる」意図もあったのだろうか

スコセッシらしく、これも「鏡に語りかける」映画だった
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