このレビューはネタバレを含みます
辛すぎる話。
一馬の人生はいったい何だったのか?
母と妹を守るために父親を殺した一馬。殺人は決して許されないが、一馬がバットを振り下ろさなければ、母が父親に殺されていたかもしれない。
それなのに、刑に服して戻って来た一馬に対して、母も妹も冷たかった。「あんたのせいで私の人生めちゃくちゃだ」とまで言われても、一馬は壊れた母を必死に救おうとする。
勤め先の産廃工場?でも、「人殺し」「殺人鬼」とはっきり言われ、理不尽な扱いを受ける。
表面上は理解を示すかに見える構成福祉施設の職員からも「ゴミ」呼ばわりされ、職場での不当な処遇も信じてもらえない。
そんな中でも、真面目で正義感あふれる、中国人労働者の劉と知り合うことで、自分の夢に向かって努力を続けようとするが…。
一馬は、本当に劉の首を締めたのだろうか? 社長の葬儀の場面はあっても、劉の生死について触れられていなかったのが気になった。
生まれた家が悪かった…では済まされない、一馬の不遇な一生。
辛すぎるが、目を背けてはいけない話だと思う。