キヨ

ベルファストのキヨのネタバレレビュー・内容・結末

ベルファスト(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

くすっと笑えるシーンが結構あって楽しかったし、子どもの世界と大人の世界の塩梅がすごく良かった。
あと、主人公が道端で読んでるコミックがソーだったのは笑った。

OPからしてよかった。最初はカラーで風景を写してて、壁を超えると時代も遡り、白黒になるっていう始まりだったけど、現代と過去が綺麗に繋がって始まるし、過去や歴史って言っているものって本来はこういう風に地続きなんだよなって思った。

主人公の住む地域ベルファストでは宗教の違いで、プロテスタントによるカトリックへの迫害や暴動が激化していた。
主人公のお父さんもお母さんもベルファストで生まれ育った幼馴染。ご近所さんもみんな顔見知り。そこらへんの路地で追いかけっこしたり、サッカーしたり、みんなが知り合いで良き隣人であるはずなのに、なんだが街は物々しい雰囲気。
そんな中で主人公は同じクラスの女の子に初恋中。どうやって近づこうか頭を悩ませたり、悪い友達から万引きに誘われたりしながら暮らしている。
イングランドに出稼ぎに出ている父は週末に帰ってくるけど、その度に母と何か言い争っている。
主人公は学校帰りに祖父母の家に寄っては、おしゃべりしたり、祖父から、年の功のアドバイスをもらったり。でも最近は祖父の体調も優れないみたい。
だんだん暴動も激化してきた頃、父から、ベルファストを去って、別の土地で心機一転生活していがないかという提案が出始めて…………

故郷との別離という話が好きなので、この話も好きだった。ただ、単純な話じゃなくて、このベルファストの地で生きている主人公やその家族の人生の一端という感じ。
特に好きだったのは、両親と兄と祖母とで、映画を見に行くシーンと、祖父の葬儀後のパーティーシーン。
映画のシーンは、みんなで横一列に並んで映画館でチキチキバンバンを見てるんだけど、車が崖から落ちるシーンではみんなでうわぁ〜って前の座席にふせたり、落ちたと思った車が車体の横から翼を出して空を飛んだら、みんなキラキラした顔をして画面を食い入るように見つめたりしていて、家族の楽しい一幕って感じで、なんだか泣いてしまった。
葬儀後のシーンは、結局祖父は死んでしまうんだけど、賑やかに送り出しましょっうってことで、ご近所さんを呼んで、ホールで賑やかなダンスパーティみたいなことをするというシーン。そこで主人公の父が、母に向けてロックンロールテイストの愛の歌を歌う。母もノリノリでそれに応えてて、喧嘩しても二人にしか分からないことがあるんだろうなと感慨深かった。
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