このレビューはネタバレを含みます
暖かさと寂しさがじんわり染み渡るいい映画だった。
北アイルランドの紛争問題とか正直全然知らないまま行ったけど、同じく何も知らないバディの目線で物語が進むから問題なかった。
(詳しい人は物語を俯瞰で観れて、知らない人は主人公目線で観れるの、上手い作りだと思う)
バディには子供の社会で生きる側面と、大人の事情に翻弄される側面があって、でもバディは賢いし優しいから年長者の顔色を伺って従うことができる。
「親の喧嘩」や「地元を離れる」なんてバディくらいの子供からしたら、とんでもなく恐ろしいことなのに、自分の本当の気持ちを隠し続けたバディが健気で可哀想で愛らしかった。
だからこそ最後にパパに溢した「好きな子がカトリックなんだ」はバディにとっては切実で、やっと言えた本音だったんだろうな……
白眉はラストのばあちゃん。
アップのカットではおばあちゃんの強さや決意が出てて、その後の磨りガラス越しのカットは体勢だけで寂しさが伝わってきた。
「ベルファストからはシャングリラには行けない」ってセリフがここでボディブローのように効いてきて、この文の冒頭に至る。