このレビューはネタバレを含みます
映画館で見てとっても好きだったの。
一つ一つ書き起こしたいような会話が続く作品で、映画館でメモしたくてどれほどムズムズしたことか。どこか詩的で温かい素敵な言葉ばかり。さすがケネス・ブラナーだよね。
改めて見ましたの。よく喋るバディ。
1969.08.15
外遊びの最中に、晩ご飯に呼ばれる、近所の人に話しかけられる、そんなバディの住むベルファストの日常に、カトリック教徒を追い出そうとする襲撃が入り込む。
宗派が違うだけで何もしていないと、父方の祖父母はわかっている。
カトリックとプロテスタントの争い。幼いバディの考えや話す内容は、子どもなりに的を射てる。
時折挟まるサックスとシンセのささやかな音楽も素敵。
北アイルランドの危機(人権侵害)に、政府はどう対応するのか。そういうレベルの危機に、日々隣近所の各家族がそれぞれに選択を求められる。襲撃する側に加わるのか、マイノリティの味方をするのか。ここを出て行くのか、残るのか。
ベルファストを出たことのない人の反応と、出稼ぎにロンドンに出ている父親の反応。
バディとおじいちゃん、おばあちゃんとの会話。
「愛の底には憐憫がある」
音楽はだんだんWarm Loveとかになっていく。
「忍耐だよ 計算も色恋も」
「答えが一つなら紛争なんて起きんよ」
ベルファストを出る出ないで揉め始め、両親の間に走る緊張感を、ベルファストを出ようとしている父の言葉を、感じ取って気にかけるバディの日常。
再びバディと祖父母の会話。ソファーで2人に挟まれて見聞きするバディ。
「願い事は慎重に」
「🎼女の心を掴むには?老人は言ったやり方がある。女はみんなわかってる。〜〜」ダンスするじいちゃんとばあちゃん。ニコニコ見つめるバディ。
入院するじいちゃん。
バディと父親の会話
「ばあちゃんはいつも何か心配してるね。」
「愛情深い人だからね。」
「ママもいつも心配しているね。」
両親が言い争ってるように聞こえる声って凄く怖かった。熱出た時の悪夢の一つだったんだと思うけど実際わからない。明らかに言い争ってるのを聞くバディが気の毒。
年齢的に争いに巻き込まれていくお兄ちゃんも辛いね。
音楽はDays Like Thisになったりする。
祖父母2人の会話。
みんなが故郷を去る。
時代の流れよ。
長すぎる我慢は心を石に変える。
そうなの?
人が何かを学ぶには胸の高鳴りが必要だ。
まあ、哲学者ね。
あなたはいつ胸が高鳴った?
茶色いストッキングのお前を見た時だ。
イヤだわ。よく覚えてる。タバコを浸した水で足を茶色く染めてストッキングの縫い目を鉛筆で描いたの。あなたは私の足を触ってあれっ?て顔を。
おかげでメロメロさ。
白髪頭はときめきと無縁と言われるが。
今もときめく?
お前を見る度にな。
相変わらずバカね。
さあ、行くぞ。
明日ジミーが車で病院へ。
断ったわ。私とバスで行くの。私と行って検査が済んだら一緒に帰る。いいわね?一緒に帰るの。わかった?
わかったよ。仰せのとおりに。
Strandedになる。
バンモリソン三昧。
病院のベッドでじいちゃんがバディに話す言葉。
「わからないのは聞こうとしないからだ
問題は向こうの側にある」
「お前はベルファスト15のバディだ」
「みんなお前の味方だ
お前がどこへ行こうと
何になろうと
一生変わらん
それがわかっていれば
不幸にはならない
覚えておけ」
「わかった」
ばあちゃんはバディとバスで帰る。
グラニーはどこへ行きたい?とバディに尋ねられ、色々思い出したのでしょう。
出てきた台詞。
「失われた地平線 」
シャングリラ
ベルファストからは行けないわ。
再度襲撃に巻き込まれ、とんでもない事態に陥って、なんとか無事に家族で家に帰ってこられたときの母親の言葉。
「わかったの。
これ以上この街にいる意味はないって。」
じいちゃんの言葉
「北アイルランドの人間はこの世で一番コレステなんとかが高いって。
何にせよ一番はいいことだ。」
ニコニコするバディ。
亡くなったじーちゃんの棺のそばで
父親にバディが色々尋ねる。
父親の言葉
Yes. He was a very deep thinker.
だから一言一言書き起こしたくなるやりとりばかりなの。
たくさんの人が見送りに来てくれたね、人気者だったからね、それに借金もたくさんあった
盛大に見送るパーティーで
バディの両親が見せたエンタメ超得意分野です!な様子の歌とダンス。
それを見つめるバディのキラキラした顔。
あのかわいさたるや。
映画館のバディと歌い踊る両親を見た時のバディとじいちゃんと話すバディは同じ顔してた。
ラスト、ベルファストを発つバスを、一人家のドアから強い眼差しで見つめるばあちゃんの台詞。
「そうよ
行きなさい
振り返らずに
大好きよ」