かたゆき

ベルファストのかたゆきのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
3.0
1969年、政情不安に揺れる北アイルランド、ベルファストを舞台に、貧しいながらも家族とともに逞しく生きていた少年の日常をモノクロームで描いた青春ドラマ。
メガホンを取るのは、俳優や監督として長年ハリウッドの第一線で活躍してきたベテラン、ケネス・ブラナー。

彼の自伝的作品ということなんですけど、最近、こーゆーベテラン勢の間には自らの過去をモノクロで描くという手法が流行ってるんですかね。
アルフォンソ・キュアロンが『ローマ』でオスカーを取って以来、この手の作品はいくつか鑑賞してきましたけど、確かにこのノスタルジックな雰囲気は観ていて心地良いですね~。
家族の為に必死に頑張るお父さん、時に厳しいけれどいつもは優しいお母さん、ずっと温かく見守ってくれていたおじいさんとおばあさん、そしてほのかな恋心を抱いていたクラスメイトの女の子……。
純粋無垢だった子供の頃を懐かしく思い出すこの感じ、けっこう嫌いじゃないです。
まあそれだけと言えばそれだけなんですけどね。
そこに北アイルランド紛争をアクセントとして盛り込んでいるとはいえ、そこまで踏み込んでいないので普通に治安の悪い下町の風景といった感じです。
最後まで安心して観ていられたけれど、知り合いの「昔は良かった」話を延々聞かされているような印象も拭えない。
ここらへん、キュアロンの『ローマ』の方が、深みや普遍性といった点で軍配が上がります。
映像や音楽は味があって良かったんですけどね。
かたゆき

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