くまもん

ベルファストのくまもんのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
3.8
過激派のカトリック教徒と穏健派のプロテスタント教徒の紛争が起きた北アイルランド問題。
抗争が激化する中で故郷のベルファストを離れるか否かの選択を迫られた、1家族を子ども目線で描いた本作。

わたしは無宗教の家で育ったけれど(とはいえ寺で葬式をあげるし、神社に初詣に行く)、大学はプロテスタント教育の学校に通っていた。キリスト教の授業も入門的なものは一通り取ったし、大学1年の時は学生寮に住んでいたので、ご飯を食べる時は毎度祈りを捧げ、クリスマスはキャンドルを灯して讃美歌を歌っていた。同室の先輩は熱心なキリスト教徒だった。
因みに父もプロテスタント教育の高校に通っていたので、聖書等も小さい頃から家にあり、触れる機会は多かったと思う(いずれも信仰とは無関係なのだが、世界で一番のベストセラー書籍なのだから一度くらい読みなさいと父に言われた記憶がある)。

というわけで、この問題の歴史的背景自体は把握していたんだけど、そういった予備知識はなくても楽しめます。
主軸は子どもの目から見た家庭の問題だと思うから。
両親の喧嘩とか会話って子どもも意外に理解して覚えているものだったり(言語が通じない云々の話を覚えていて、移住に反対する場面等)するよね。
そして生活にまつわる決定権は子どもにない。
結婚したいと思っていた女の子と離れ離れになる選択すら彼はできないわけで。

そして住む場所の選択。わたしは18年間神奈川に住み、4年間京都に住み、10年くらい東京に住んでいて、おばあちゃんになったら広島で暮らしたいと思っていて、正直故郷への愛なんてものはないので感覚としてはわからないんだけど、小さな街でみんな知り合いな環境に愛着がわくってこと自体は理解できる。
地震とか災害が起きた時に、例えば福島に住み続けたいとか、九州に住み続けたいとかおじいちゃんおばあちゃんだけじゃなく、もっと若い世代も言ってることとか。
安心安全で暮らせる以上のものなんかないんじゃないかと思ってしまうんだけど、そう割り切れないこともあるんでしょう。

おじいちゃんが名言連発していたなあ。
モノクロの映像が美しかった。
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