マルタ島で代々受け継がれるルッツで漁をする青年が妻子を養う為に伝統漁を続けるか、仕事を変えるのか?悩みます。彼はルッツ漁が好きで誇りを持ってるけど、生活出来ないと言う現実を突き付けられ、試行錯誤の末に答えを出します。地球温暖化も背景にあり、考えさせられる良作でした。
マルタ島の伝統漁船ルッツで海に出る漁師のジェスマークには、妻デニスと生後間もない息子がいる。船に水漏れが見つかり、修理費用がかかり、その上、病院で息子の発育不良を指摘され、治療費が高額である事も解ります。魚も不漁で、獲った魚も市場で高く売れません。妻は実家を頼り、ジェスマークは2人で乗り越えたいのだが…。
ネタバレ↓
妻は比較的裕福な実家の母を頼り、病院の紹介、お金の援助、更には息子の面倒まで見て貰います。
お金が必要なジェスマークは、禁猟時期だがメカジキを売ろうするが失敗。ある時、彼は市場で禁漁のはずのメカジキが裏取引されているのを目撃した。取引には市場の仲介人が絡んでいて、彼は仲介人に近づき、やがて裏取引に手を染めます。魚の横流しだけではなく、漁師たちの網を切り裂く行為にまで加担し、親友デイヴィッドの網までも切った。
デイヴィッドはルッツの修理をしてくれました。しかし、その船に乗る事はなかった。
息子のお祝いパーティーで、漁師では生活出来ない事を義母達から指摘され、妻と喧嘩をしたジェスマークは、現実的にお金が必要であり、今の仕事では、家族を養えない事を痛感し、船を廃棄し、廃業する事で、行政が勧めているルッツ漁の猟師の再雇用制度で7,000ユーロ(約113万円)を手にするのでした。
そして、トロール船で働く事を決め、妻と息子との暮らしを選びました。
ラストは、ジェスマークがデイヴィッドの船から釣り竿を取り出し浜辺で釣りをする姿をデイヴィッドが遠くから黙って見つめるのでした。
これはマルタの漁業だけど、世界中の経済的弱者が同じ様に過酷な状況の置かれていると思います。仲買人がジェスマークに「50年後も魚が獲れると思ってるのか?本読めよ」と言うシーンは、キョーレツでした。ジェスマークの選択は、妻子を優先した良い選択だったと思うけど、デイヴィッドにだけは、ちゃんと話してから、船を廃棄して欲しかったなぁ。ラストの顔だって、怒ってはいなかった。言えない事を哀れんでる様に見えた。色んな事を考えてしまう良い作品でした。
ジェスマーク役の方は俳優ではなく本物の漁師だそうです。
*のんchan、ありがとう♪︎