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世界で一番美しい少年のbenikoのレビュー・感想・評価

世界で一番美しい少年(2021年製作の映画)
3.8
「ベニスに死す」で一躍有名になったビョルン・アンドレセンのドキュメンタリー。

とにかく胸が痛い。

日本語で歌わされているビョルンの曲がもう辛くて、とても聞いていられなかった。

老いてもまだ歌えるなんて、
よほどこの時期が辛かったのかなと思う。

実母が自殺して祖母に引き取られ、孫を有名にしたいばあちゃんが浮かれている間に、「ベニスを死す」完成後の性的虐待、日本では薬まで飲まされて訳もわからず働かされ…

この時ビョルンの周りにしっかりした大人がいれば、少しは違ったんじゃないか…
と思わずにはいられない。

壮絶すぎて本当に胸が痛い。

それでもスクリーンに映るビョルンの姿は今も昔もやっぱりハッとするほど美しくて、でもこの”美しい”と思う感情が今までビョルンを苦しめていたのとと思うと……彼の姿が映る度に複雑な気持ちになりました。

途中に出てくる実母の詩は、何の因果なのかまるで息子にも通じるような内容…。

年上に言うのもなんですが、周りの人を頼って、ガスはつけっぱなしにしないで、これからも強く生きてほしいです。

このドキュメンタリーを観たからといって、大好きな「ベニスに死す」を嫌いにはなることはできません。

監督に憤りは感じるけど、やっぱり好きな作品。”撮影中は手を出すな”と監督がスタッフに命じていたらしいので、撮影中に虐待がなかったのは救いでした。”撮影中は”。

この胸が痛いドキュメンタリーの中で唯一、
#ミッドサマー の現場でぐちゃぐちゃになった自分の顔を嬉しそうにスマホで撮ってるビョルンの姿にはにっこりしました☺️

ありがとうアリアスター監督!

つらつらと書いていますが、
観る価値のあるドキュメンタリーです。
「ベニスに死す」がお好きな方は是非。
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