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ワース 命の値段のシネマのレビュー・感想・評価

ワース 命の値段(2019年製作の映画)
4.3
2019年制作アメリカ映画

3.11の被害者の公的補償の責任者になったケネス・ファインバーグの回想録『What is life worth?』が原案となっている作品。
原作を検索したところ、彼が書いた『大惨事後の経済的困窮と公正な補償 (日本比較法研究所翻訳叢書72)』が見つかった。

【カーリルより】
紹介

われわれが東日本大震災と福島原子力発電所事故の後に目撃したように、大惨事の後に発生する多数の犠牲者を救済しなければ、社会と犠牲者の絆が断たれ、また犠牲者間の軋轢が拡大してしまう。9.11同時多発テロ後に創設された犠牲者補償基金やメキシコ湾岸油田爆発・原油流出事故後に設けられた補償基金の管理運営を担ったファインバーグ弁護士は、そのような社会と犠牲者の分断や地域コミュニティにおける犠牲者間の分断を放置すると、国家そのものが成り立たなくなる、と警告する。本書は、特定の利害関係集団と社会の連帯が切断され、さらに同一コミュニティ内の格差が拡大していくことが予想されるわが国にとっても、貴重な示唆を含むものである。

目次

〈主要目次〉  第1章 私の人生に影響を与えた人びと ―大学教授,裁判官,法律家そして上院議員― 第2章 ベトナム戦争と枯れ葉剤後遺症 ―被害者間の連携を目指して― 第3章 9.11犠牲者補償基金  ―公的資金による救済は妥当か― 第4章 バージニア工科大学銃乱射事件 ―命の価値の平等― 第5章 公的資金による金融機関救済と役員報酬  ―あなたの力を信じる!― 第6章 メキシコ湾岸地域原油流出事故  ―パーフェクト・ストーム― エピローグ  ―公的な補償給付制度という感覚

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以上


マイケル・キートンがファインバーグ役。

マイケル・キートンの英語が日本語訛りな気がして、ずーっと耳を澄まして聴いた。"ber"の発音が苦手なので、マイケル・キートンが"number"を「ナンバー」と日本語のように発音したように聴こえたのがずーっと気になり…。
ご本人さんの話し方なのかもしれないけれど。

まずアメリカでこういう公的な補償がされていたことを映像で知れて良かった。
あと、プロボノ(無報酬)で引き受けたことにビックリした。リーガルドラマでプロボノ案件が結構出てくるけれど…リソースが桁違いな感。

被害者ご本人、ご家族に寄り添うってホント疲弊するよね…。
妥協点も見つけるのも難しいし…。

ファインバーグは部下たちに任せて政治的なことなど司令塔の立場で偉い人なので、実際の実務はやっていなかったのがわかる描写がリアル…。

生き死にまでは自分は関わったことはないけれど、似たような仕事をして身体を壊し燃え尽きたことがあるので、ファインバーグたちの方に感情移入してしまった。わかる!わかるよ!…ってな感じで。
寄り添って共感して、強い感情を受け止めるのはホント心身に来るよ…。病む…。何事もだけれど、向き不向きがあると思う。幸いにも(?)彼らは向いていたのだろうね。

ワシントン ・ナショナル・オペラの元会長でもあるファインバーグが音楽会に行って、居られなくなったのは歌詞が責められたように感じたというか、追い詰められいたたまれなくなった感じがしたからだよね。自分も聴いていて責められているようで辛かった…。

家族の問題も明るみに出たりして、人間いつ死ぬかわからないから身辺整理はこまめにしておいた方が良いと改めて思った。
フィルマもGoogleアカウントみたいにアクセスが無かったら情報を消去してくれる仕組みがあると良いのに。
EUのような『忘れられる権利』が無いみたいだから無理かな…。

W座のエピローグトークであまり共感する部分が無くて、そういう役割をしたことのない、お2人なのだな…と寂しく感じた。
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