まるで美しい陶器を愛でる様な珠玉の映画です。
貴族階級に生まれながら戦争等の時代の波に抗しきれず、ただ失うだけの女達と男達。
そして孤児として生まれメイドとして働くジェーン。
彼女は女として自立し失う事へも立ち向かい労働者階級として新しい時代を強く自由に生きていく象徴。
とにかく映像が美しく全てのシーンが絵画の様。
英国の田舎の四季折々の自然を背景にファッション、家具、調度品、全てが計算されています。
特に差し色として使われる、プルシャンブルー、コバルトブルー、エメラルドグリーン、ワインレッド等が効いてるし、全体の色彩バランスが素晴らしい。
英国美術のミレイのオフィーリアを思わせる場面も嬉しい。
音楽も弦楽奏を中心にしながらエレクトロニクスを混ぜ合わせた環境音楽的で過去を舞台にしながらも今日的な表現でピッタリでした。
こう言う上品で良質な映画を見ると心が満たされ贅沢な時間を味合えます。
同監督の「バハールの涙」でも名作です。