さくらん

帰らない日曜日のさくらんのレビュー・感想・評価

帰らない日曜日(2021年製作の映画)
3.9
20世紀初頭の、育ちの良いボンボンに弄ばれたメイドの話かと、軽く考えて観に行ったら、殊のほかストーリーが深く、久々に心に響いた作品だった。

その育ちの良いボンボンのピーターの本心は、最後までわからなかった。
エマと結婚する事、弁護士になる事は自分の義務だと受け入れていたけれど、やっぱり納得してはいなかったのではないかと、確認する術はなくなったけど。

戦後、交流を持つ中流家庭3家族。
3家族の6人の子どものうち4人を戦争で亡くすという悲劇に見舞われている。
子どもを2人とも亡くしている夫婦は悲壮感が漂い、惰性で生きている様で見ているのも辛い。
残された2家族の一人ずつの子ども達は、婚約をするけど、二人の気持ちは別々の所にあるのが痛々しい。

ピーターとの別れを経て新しい一歩を踏み出したジェーンには、また新たな試練もあって…。

作家と言う事で『つぐない』を思い出したが、あちらは願望を綴るのに対し、こちらは自分の歩んできた人生を綴るという大きな違いかあった。