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世界は僕らに気づかないのsnatchのレビュー・感想・評価

世界は僕らに気づかない(2022年製作の映画)
4.3
思いがけず、フィリピーナ母さんと息子の表情感情に頷いたり笑ったり両頬に涙まで貰っていた
中身に触れています





この罵りあっているとしか見えなかった母と息子。もう無理だ修復不可能と思いながら見ていた

ママの喚く下手な日本語とそのド派手な第一印象が、映画を通して変わっていく。フィリピンから日本にやってきて仕送りしながら女として母として生きてきた本気の魂が浮き上がってくる。いや、初めからそうだったんだ、私が“ガイジン”って見ていただけなんだ

そのママを笑われイジメられママを非難疎ましいと感じてしまう息子の心、いえ、これも違うんです、ママを攻撃したいのではなく、苦しくてもがいていた。尖らすしかない言葉の裏側にはママを愛しているという感情が渦巻いていた

「いて欲しい時にママはいてくれなかった」
「私は悲しむ時間もないほど働いていた」

進路を決めなければいけない主人公 高校三年生純俉君の、幼少の頃から抱えてきたもの 悲しみ寂しさの重さの表現が素晴らしかった

純俉が同性愛者でもあり他にも…テーマが多すぎると最初は思いましたが、映画としては絶妙な配役、あんなオジサンこんなオジサン、素人さんも多いと思いますが、その人の味や温かみも拾って、日常の人間関係の紐を少しずつ太くしていく、そこがいいなあと思いました😌

彼女たちが生きてきた現実は、もっと酷いこと醜いこと悲しいこともあったと思うし、こんな二時間でハッピーエンドは物語りなのかもしれない…でも、いつも陽気に元気に生きていこうとする彼女たちと彼女たちの愛する子どもをこのフィルムに焼き付けてくれた
今、タイトルを噛み締める

観に出掛けてよかった
ありがとうと言いたい
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