てぃけもとーてぃけもと

ちょっと思い出しただけのてぃけもとーてぃけもとのレビュー・感想・評価

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
5.0
構成と演出で何気ないものがこんなにも人の心の奥底まで響かせる作品になるんなだなぁと実感できた映画。

クリープハイプの曲から着想を得て脚本ができたとは言え、最後最高のタイミングでその曲がかかってきても心の波はその曲一曲じゃ収まらないくらいグググって来てて、何も言えなかった。
何が来たのかちゃんと言語化できないけれど、言語化できないものが来たってことがこの映画の良さを物語っているような気がする。まじで刺さった。

タイトルの『ちょっと思い出しただけ』、実際は「ちょっと」どころじゃなくて、何かにつけてしっかり思い出してしっかり感情を動かされているのに、意地を張ったように「ちょっと」と言いたくなる何とも言えないあの感情、それを2時間通してこれでもかと言うほど描き切っている。脱帽!

ちょっと俯瞰してどこか冷めたところのある葉ちゃん、別れそうな局面で走れない昭生くんに「追いかけてこねえのかよ」と理不尽なことを言ってしまう感じ。
感情を表に出さないタイプの昭生くん、あまり引き摺ってないように見えて、プレゼントでもらったバレッタを見つけて髪を切りに行く感じ。
人の感情の矛盾を登場人物の何気ない行動でさらっと描いていて、共感ポイント多すぎる。脱帽!

もともと池松さんは良い俳優さんだなって思ってて、伊藤さんは知らない間に有名になっててメディアでチヤホヤされてるイメージだったから毛嫌いして見てなかったけど、良い俳優さんすぎて驚いた。

今日という1日を、1年後の自分からはどう見えるのだろう。
恋愛に限らず、視点を未来に移して今を見るのも悪くないかもしれない。