rada

ちょっと思い出しただけのradaのレビュー・感想・評価

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
5.0
<2023年 35本目>
男女が出会い、恋をして、関係を深めていくも、徐々に冷めていき、最後は別れを選ぶ。ただ美しい。

あるカップルのある1日を切り取り展開して行くストーリーはどこかで体験したようなことばかり。

この作品を観るとありふれた日常の素晴らしさに気づける。夜の街灯、公園で話す学生、仕事終わりのサラリーマン、夕飯について話す親子。これらの当たり前のような日常の素晴らしさがなんとも愛おしい。

この作品は明確な別れの瞬間を描くのではなく、別れて数年経った2人の姿と、別れる少し前の時間を見せることで、物語に必要なパーツを観客の想像で補完させる仕組みになっている。

最後のラストシーン。2人が初めて明日の朝を目撃する。過去をちょっと思い出し、そのつながりを愛することは、今自分が立っているこの場所を少しだけ愛せるようになる。別れてしまったがふとした時にちょっと思い出すだけでいい。そんなラストが大好きです。

そしてラストカットの美しさ。言葉では表せないけどエモいです。
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