Yoshishun

パール・ハーバーのYoshishunのレビュー・感想・評価

パール・ハーバー(2001年製作の映画)
1.8
“真珠湾攻撃を利用した昼ドラ映画”

公開当時『トラ・トラ・トラ!』をなぞり「BOA!BOA!BOA!(退屈・退屈・退屈)」と酷評される等、史実の歪曲、戦争映画と勘違いしてしまう内容に大論争が巻き起こった。本作については、『チーム・アメリカ ワールドポリス』でコケにされていたのが思い出される。真珠湾攻撃という題材自体、製作国であるアメリカには負の歴史であるため中々に取っ付きにくさはある。しかし、米軍万歳なマイケル・ベイにかかれば、敵国である日本を小馬鹿にするなど簡単なこと。チーム・アメリカがクソ映画と馬鹿にしていたのも納得の内容だった。

まず、本作は主に3部構成である。
第1部はベン・アフレック×ジョシュ・ハートネット×ケイト・ベッキンセールによる三角関係ドラマ、第2部がハイライトといえる真珠湾攻撃、第3部が真珠湾攻撃の報復とした米軍による東京空襲。
しかしこの構成がかなり退屈に感じてしまった要因であり、第1部が美人看護師にイライラさせられる激寒恋愛パート、そして第3部は明らかに蛇足に思える。3時間もかける内容ではないというのは第1部のグタグタ具合からもわかる通り。極薄タイタニックと揶揄されたのも頷ける。

勿論、第2部は当時のCG技術による真珠湾攻撃を再現しており、爆撃の迫力や恐ろしさは十分に伝わる。ただ映像はいいとして、直前の日本軍の極秘会議はかなりマズい。インスパイア元を間違ったとしか思えない描き方で、子どもが凧揚げているような野原で、しかも尊皇攘夷が書かれた白旗を掲げた戦国武将の陣地のような佇まいで重要そうな会議をしている。なお、このときの見回り兵士の格好も舐めているとしかいえない。

この恋愛パートがウザったい第1部、映像はいいのに日本軍の描き方が致命的に馬鹿げている第2部に疲れ果ててしまい、第3部時点で最早気力は残っていない。真珠湾攻撃における日本軍は民間施設も容赦なく攻撃するような悪魔のような描き方がされているのに対し、東京空襲では米軍は軍事施設に絞って攻撃しましたよ!国際法遵守してました!っていうあからさまな差別表現ぐらいしか頭に残らない。正直ラストも予想通りのビッチ展開になり果てる。

これぞまさにハリウッド、世界のアメリカ映画と言われればそうなのかもしれない。
そもそも本作、真珠湾攻撃を扱う必要があったのかも甚だ疑問だし、日本で受けたのもベタな恋愛もののお陰だったのかなと邪推してしまう。
トンデモ日本映画は数多くあるものの、ただトンデモであればいいのにロクに時代考証をしなかったのが見え見えな不快要素をここまでブチ込むのは案外珍しいかもしれない。

あ、これ3時間しかなかったんだ。
5時間の間違いでしょ?
Yoshishun

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