ツクヨミ

叫びとささやきのツクヨミのレビュー・感想・評価

叫びとささやき(1972年製作の映画)
2.8
全てが真紅に染まる劇的な映像美。
豪邸に住むアングネスと使用人アンナは仲睦まじい生活を送っていたがアングネスが病気になってしまい、姉妹が見舞いにやってくるが…
イングマール・ベルイマン監督作品。今作はベルイマン監督が初めて撮ったカラー作品ということだったが、まさにベルイマン監督的な狂気的映像美に感服した秀作だった。まあなんといっても今作は全編に映る"赤"の色彩が美しく、豪邸の各部屋の壁紙や床が赤いこと、姉妹の着る服が赤い服が多かったことが要因となっている。そして内容的にもワインの赤みや流れる血だったりと視覚的インパクトが凄まじい。
また映像手法としても"赤"が取り入れられておりカット割りの時に"レッドディゾルブ"とも言うべきか、徐々に画面が真紅に染まり次の場面に転換するのが美しかった。そして大胆なクローズアップとズームイン、ベルイマン監督らしい光(赤)と影の使い方が現れた映像が狂気的でもある。
しかし内容としては少々わかりづらく人間関係などがあまり理解できなかった印象。結果的にもはや映像に魅入られすぎて内容が頭に入ってこないというか、本当に映像に見せられた作品だった。
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