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叫びとささやきのmのレビュー・感想・評価

叫びとささやき(1972年製作の映画)
3.5
得体の知れない怖さ、けれど身近に感じてしまう。
だから尚更恐ろしい。
アンナが怖いわー……。

アリ・アスター監督が『ミッドサマー 』を製作する前にスタッフに観せたと言われている作品。
『ミッドサマー』が観た過ぎるので鑑賞。

『ヘレディタリー/継承』を観た時に、監督は人間の内面を描き出すのが上手いなぁと思っていたのだが、やはりこういう作品が土台にあるのね。
赤が鎮座する屋敷の中に、真っ白なドレス。
その美しさの中にある、底知れぬ不気味さ。

無駄な説明を省いたストーリー展開に大胆な構図。
そこに不思議な程に優しい姉妹。

長女、カーリン
次女、アグネス
三女、マリア

この三姉妹と、屋敷に雇われたアンナの4人が繰り広げる不思議な心のやり取り。
次女アグネスが病気で苦しみ、死ぬまで、そして死んでからの人間のやり取りがそこに存在している。

長女と末っ子というのは、万国共通の関係性なのだろうか?
長女は逞しく、そして切なげに不器用に、まさしく長女らしかった。
三女は自由奔放で他人任せ、愛に飢えた可愛らしくまさに末っ子らしい。
上っ面だけのこの2人が徐々に自身の姿を見せていくのは、どこにでもある怖さだった。

私が一番怖い、と思ったのは召使いのアンナだった。
アンナはアグネスを娘と重ねていたのではないだろうか。
あの過度なスキンシップは見ていて恐怖と切なさを感じた。
カーリンとマリアは拒絶した死にも、臆することなく接しているのはアグネスへの愛ゆえだけでもないような気がする。

すべての人間が愛に飢えていた。
それをアーティスティックに、詩的に描き出していて面白かった。

とりわけ、回想に入る顔のアップは人間の二面性を感じられた。
また白いドレスが黒いドレスに変わってからのやり取りが痺れる。

ストーリー : ★★★★☆
映像 : ★★★★★
設定 : ★★★★☆
キャスト: ★★★★☆(特にマリア可愛かった)
メッセージ性 : ☆☆☆☆☆
感情移入・共感 : ☆☆☆☆☆
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