みむさん

ガール・アンド・スパイダーのみむさんのレビュー・感想・評価

3.0
バンクーバー国際映画祭にて。

同居している三人のうち一人が引っ越す、その作業を通して描かれる複雑な人間模様。

マラとリサの関係は複雑なものを匂わせるし、マラは常に不機嫌、近所の老婆と猫、犬、なにかを暗示するような唇にできたヘルペス、蜘蛛。
引っ越しの作業に加わる母や業者、近隣の住民まで登場し劇中同様こちらもだんだん混乱してくる。

とにかく伏線のようなものがゴロゴロ転がっている。だけど明確な答えや繋がりは提示しない。
見ている側が人物関係・相関図を脳内で補完しながら物語を自分なりに繋げ組み立てるような感じ。

引っ越し前後のアパートという限られた空間の密室劇のようで実は複雑に絡み合う人間ドラマ、それでいて説明は最低限、観客が一連の出来事の傍観者となり、与えられた情報(映像と台詞)から関係性を探る。

解釈は完全に観客に委ねられ、表面上は特に大きなことは何も起こってないように見えても彼らの腹の内を想像することで不穏さと不気味さが増すような映画。

蜘蛛やヘルペス(?)が人から人に渡るのが何かを暗示しているよな…