酸化

名付けようのない踊りの酸化のネタバレレビュー・内容・結末

名付けようのない踊り(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

踊りや身体芸術の知識はなく、そういった表現活動にも疎いのですが、田中泯という人物の生き方、思考、踊りとはどういったものとして表現をしているかを様々な面から映しており、少しの間だけでも共に旅をしているような気持ちになりました。

映される田中泯さんの身体の動かし方や発声の仕方がとても巧みで、すべての所作に目を奪われました。
そして、自然と様々な生物、移りゆく生命、生と死、誕生と老い、人々との様々なつながり、声、言葉、詩、思考、生活、生きる中で触れる様々なものに「踊り」があり(そこから踊りが生まれるという感覚です)、名前がつけられないからこそ踊りという表現になるのかもしれないと感じました。
自分の中の芸術や踊りという概念が、ほどかれていって再び組み直されて今までと違う世界を見せてくれたようで、とても好きです。見られて本当によかったです!

最後に福島県での踊りがありますが、なんとも言えない寂しさや孤独感、そして人という存在や営みのはかなさと、それらが失われたことを嘆くでも惜しむでもなく、ただ踊ることで表現することで、あの震災についてまた別の何かを見た気がしました。
酸化

酸化