イッソン

名付けようのない踊りのイッソンのレビュー・感想・評価

名付けようのない踊り(2022年製作の映画)
4.2
踊りって何だろう。
この映画を観てよくわからなくなった。

僕は少年の頃にバレエを習っていた。でも、習えば習うほど不自由で、苦痛で、自己嫌悪の極みまでいって、踊ることは好きだったけれどやめてしまった。

田中泯さんの踊りって、何がすごいのだろう?何かわかりやすい技があるわけじゃない。そもそも踊りって形や型があるものじゃないの。

それが名付けようのない踊りなのか。

映画しか観ていないけど、田中泯は壁の中だって泥の中だって通り抜けてしまう。
とんでもなく自由。昆虫にもなれる。これって6歳くらいの子どもの感覚かなぁ。

若い頃はほとんど全裸だし。うへって驚いた。ゴミの島でもコールタールの中でも踊っている。正気とは思えない。
パンフレットの経歴にはバレエとモダンダンスを10年間学んだとあって、考えたすえの踊りだったとわかったけれど、しかし。

若い泯さんがパリで踊った時に、あのベジャールが観に来た!って発言していたのだけど、僕はベジャールがきっかけでバレエを習い始めたから唖然とした。

何だ、こんなすごい人が日本にいたんじゃないかって気分だ。うーん、まいってしまったのだ。

そして山村浩二のアニメがじわじわと記憶に残る。田中泯と一緒に踊ってるような絶妙なバランス。映画だからこそできた共作だ。