イッソン

忍びの国のイッソンのネタバレレビュー・内容・結末

忍びの国(2017年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

忍者、良くも悪くも恐るべし。

アクションシーンの出来栄えは見事。
前半に見せる大野智の動きはまるでダンスのように小気味良い。後半のアクションは間を生かして、壮絶なものになっていく。
彼の演じる無門はとても良かった。
他人の痛みがわからない者のとぼけた表情と、忍者としてのずば抜けた技の連続は、大野智の少し間の抜けた表情と高いダンス能力をそのまま設定に生かしたものに見えた。

この映画のアクションの派手さに隠れているテーマとして、「他人の気持ちがわかるか」ということがある。
織田信長の息子が自分の気持ちなどわかる者などいない!と叫ぶところにハッとした。
石原さとみのお国。しっかりしていて美人で固くうちとけることがない女性。彼女が最後に無門を「かわいそうに」と涙を流す姿が印象に残った。

忍者たちは人殺しの道具として育てられた。他人の気持ちどころか、自分の気持ちを見つめることも知らない。
お金にしか関心がない。誰かを好きになったり、守ろうとする気持ちもない。自分に何かが欠けていることもわからない。
それはそのまま現代の日本人たちを映す鏡のようで、物語の後味は苦い。

ワキ役の忍者で、やる気なさそうに見えて吹き矢で次々と人を殺していく小松 利昌は最悪に不気味。