【神に感謝】
同じ日に公開された「神々の山嶺」も観ると、なんとなくだけれども、なるほどと思える気がした。
この作品には、ドキュメンタリー映画「フリー・ソロ」の主人公アレックス・オノルドもインタビューで何度か登場する。
マーク=アンドレの凄さを語るのだが、この作品を観て驚くのは、その記録や実績もそうだが、実はそれより、マーク=アンドレの純粋さや、屈託のなさ、虚栄心のなさ、そして、リスクを理解しながらもクライミングを心から楽しんでいる様子だ。
(以下ネタバレ)
だからこそ、他のクライマーや恋人が一様に示す懸念を、僕自身も感じてしまう。
映画の彼らの懸念は、エンディングで語られる結末よりも前に記録されたものだが、心配は現実のものとなる。マーク=アンドレは死地に向かっているのではないかと云う懸念だ。
そして、マーク=アンドレが、一番達成を望んだチャレンジ成功直後で、これまでになくリラックスしているインタビュー映像が映し出された後だったので、なおさら、呆気なく感じてしまう。
マーク=アンドレが友人みたいな関係という母親が、彼の死を悼む仲間達を前に「息子の自由(自尊心?)を尊重するように促した神に感謝します」と話す場面がある。
ADHDのマーク=アンドレにホームスクールやクライミングを選択することを促した母親の愛情や強さを感じると同時に、深い悲しみを乗り越えようとしているのだとも思った。
なぜ挑むのか、その答えはない。
もし、興味があったら、「神々の山嶺」も観てください。