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ザ・ヒューマンズののんchanのレビュー・感想・評価

ザ・ヒューマンズ(2021年製作の映画)
4.0
リチャード・ジェンキンスの名前を見つけ、かなり好みの匂いがしたまま情報を入れず観たA24作品。勘が当たり好みでした。

劇作家スティーブン・カラニがトニー賞を受賞したブロードウェイの戯曲を映画化した映画監督デビュー作。
現代のアメリカの家族を上手い具合に象徴している内容になっているらしくアメリカで好評を掴んでいる。


感謝祭の夜、ブレイク一家は次女ブリジットとパートナーのリックが借りたNYのチャイナタウンにある老朽化したアパートに集まって来る。
そこで一時を過ごす仲の良い家族の何気ない会話と食事の時間のワンシチュエーションドラマ。

あまりにも古い建物で上階の物音が驚くほど煩い、軋みの音、壁のシミ、壁を伝え漏れる水回り。
そんな中、電気が一つ一つ消えて暗闇になってしまう。
雰囲気はホラー映画さながらの手法を用いて巧みに描かれている。

夜が更けて行く中、不穏な空気感に包まれていき、一見幸せそうな家族が、それぞれ胸の内に抱えている悩みが次々に放出されて、ついぞギクシャクした怪しさに変わっていく...


祖母のモモは敬虔なクリスチャンだったが、4年前から認知症を患い車椅子生活。
介護しながらもそれぞれ仕事を持つ両親。
父は今まで娘に隠しておいた話があり、母は膝が悪い。

長女エイミーはレズビアン。最近失恋し、体調を崩し人口肛門手術をする悩みを待ち、仕事はクビ状態。

ブリジットは作曲家になる夢があるがバイト生活。
リックは鬱で苦しんでいた過去がある。

誰にも悩みの一つや二つあるだろう、それを口にせずも世の中は回るが、家族でも言えない、言わないままで良いのか?微妙な空気感をそれぞれの演技力で魅せていた。

リチャード・ジェンキンスの渋みはそれだけでもう安定感。
姉妹役エイミー・シューマーとビーニー・フェルドスタインはコメディが多い中、笑いを一切封じて演じているのも面白い。

好みは分かれそうだが、私はこ〜いうの好きだな〜。
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