このレビューはネタバレを含みます
なんとなく気になり見たが、真実の愛を見た気がした。
アウシュビッツに収容され、賭けボクシングで一日一日を生きながらえてきた主人公の体験を後日談として追体験したが、まず対話の相手を変えて話を進めていく構図が飽きさせない意味で上手いと感じた。
ただ淡々と主人公ヘルツコと記者の対話だったらここまで感情移入できず飽きてしまったように思う。
自分の命がかかっているとはいえ実質的に同胞を手にかけていく様は息苦しく、胸が詰まる思いで見ていた。
ヘルツコを目にかけていた親衛隊の男が、悪役ではあるが、割り切っている雰囲気が嫌いにはなれなかった。
話が進み、「ドイツ人には殺されたくない、お前の手で殺してくれ」と懇願する友人ジャンを真の意味で自らの手にかけてしまったことを妻に告白し、息子に闇の真実を伝えてしまっていいのかと葛藤する場面に思わず涙が出た。
その他の場面でもPTSDを発症している描写が何度もあり、ありきたりではあるがあのような凄惨な出来事を二度と起こしてはならないと感じた。
最後はあらすじにもある通り、無償の愛に救われるドラマで、身の回りの人を大切にしようと思った。