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アウシュヴィッツの生還者のOGのネタバレレビュー・内容・結末

アウシュヴィッツの生還者(2021年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

## 忘れない程度にざっくりあらすじ
アウシュビッツ収容所を生き残ったハリー・ハフトの苦難を描く。
終戦後、ハフトは「ポーランドが誇るアウシュビッツの生還者」を宣伝文句にプロボクサーとしてアメリカで新たな生活を送る。
ハフトはアウシュビッツ収容所でナチスの娯楽として行われていた賭けボクシングでユダヤ人同士の殺し合いを勝ち抜くことで強制収容所で生き残っていた。
プロボクサーとして大物に戦いを挑むハフトの真の目的は強制送還の前に生き別れた恋人ノアに自分が生きていることを知らせ再会すること。
ハフトは結局、ノアの死を悟りボクサーを引退し、"ノア探し"を手伝ってくれていたミリアムと結婚するが…。

## 感想
人間の善悪の概念を改めて考えさせられる作品。
ハリー・ハフトは自分を"救いようのないもの"として信仰心を捨てるほど、自身がした"選択"を責め続け、悪夢に苦しんでいる。
収容所でハリー・ハフトが生き残るためにした選択は、咎められるものなのか。それとも、同胞の生贄に生き残った悪人なのか。
ナチス将校シュナイダーの「ユダヤ人を憎んではいない。」というシーンは、その時代を生きていたドイツ人の本音をとても生々しく表現しているように思った。(現代から見たら当然、許されざる行動であることは言うまでもないが)
悪を働こうとしているのではないが、「抗うことができないより大きな何か」に無意識下でそうさせられている人は純粋な悪なのか。
この問いに答えられる人はいるんだろうか。
(ナチスがやったことは完全なる悪であることは疑いようのない事実だけど、その中に”人”がいたことを忘れてはいけない。)

アウシュビッツ収容所・終戦後のプロボクサー時代・ボクサー引退後(60年代)の3つのハリー・ハフトを演じたベン・フォスターの役者魂が素晴らしかった。
収容所でのシーンのために、28kg減量し、終戦後のシーンのために5ヶ月で体重を戻したらしい…。
すごすぎる。。
バリー・レヴィンソン監督の作品は初めてだったが、シーン間の繋がりや、ストーリー全体のまとまりがとても好きだったので、他の作品も見てみたい。
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