いま流行りのリアル志向の恋愛邦画に分類される作品だと思うけど、鑑賞時の精神状態によってはかなり引きずりそうなエグみがある。
過度にエモさを誘う演出もなければ、それほど深いテーマである訳でもなく、淡々と一組のカップルがすれ違ってく様の生々しさそのものでグサグサ刺してくる。
終始二人の間に漂う嫌な空気は決して爆発することなく、寸前のところで蓄積されていくからこそ、クライマックスである一線を越えてしまう瞬間の切れ味が凄まじいものになってる。
映像も驚異的な長回しを隠し撮りしたみたいなアングルで撮っていて、他人のカップルの見てはいけないところを見てしまったような気持ちになった。
男女の恋愛観の違いを描いているようにみえて、実はどちらも感情を優先して動いているところが話をややこしくしてる。
感情的な行動に対して感情的にぶつかっていく女性の価値観と、感情的な行動に対して無理してでも理論武装してやり過ごそうとする男性の価値観のぶつかり合いは、共感する対象を選びそうだし論争を巻き起こしそう。
カップルの方達は確実に閲覧注意ではある。
二人の演技も痛いくらいリアルで良い。
藤原季節さんは若いマダオやらせたらもう右に出る者はいないのではないかと思う。