まや

よだかの片想いのまやのネタバレレビュー・内容・結末

よだかの片想い(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

顔にアザのある女性の恋物語。

恋愛映画としてすごく好きだった。

恋が始まる瞬間を切り取っていく様、
光の扱い方、表情のアップ。映像としてとても綺麗だったし、セリフが説明的ではなくて、周りのものや鏡を使っている点がとても上手くて丁寧に描かれていたと思う。

また、テーマも様々含まれていて、
その塩梅が絶妙でぐちゃぐちゃにならず
とても上手だった。

マイノリティの生きづらさ、女性に求められる美の価値観、描く側と描かれる側の危うい関係、マイノリティが消費されること、人との繋がり、自己成長。

これだけ多く盛り込まれているのに、説教臭くなく、綺麗にまとまっているのが本当にギリギリの匙加減で全て描き切るという強い気持ちを感じてすごいと思った。

ノットヒロインムービーという切り口で制作されたとのことだが、その謂れの通り、主人公のアイコが芯の強いハッキリとした女性で好きだった。アザが顔にあることでマイノリティに設定されているが、そのことで生じる生きづらさを自分の力で徐々に受け入れてきたからこそ、確固たる意志を持っていることにも納得ができた。
そのキャラクター性が最後の別れの部分でもブレないため、アイコの強さをとても感じられてよかった。

基本的に強い意志を持って生きていたからこそ、そこを共感して言葉で伝えてくれる飛坂。あんなの好きになってしまうに決まっている。あぁいうちょいクズな感じが
中島さんは本当上手いなと思った。中島さんの塩梅もうまい〜というか本当にかっこいい!監督が中島さんしかいないと起用したとのことですが本当監督に感謝!

最後のシーンはとてもとても好きだった。
夕陽を背景に女性2人が踊り、顔がアップになって終わる。一つの恋をしたことで主人公がアザとの向き合い方含め自分の生き方にも成長が感じられた。無理に全てを受け入れてもらわなくてもいいし、無理に自分を変えなくてもいい、ありのままを少しずつ受けいれて生きていきたいと優しく光で包み込んでくれる優しいラスト。それを共感してくれる女性と2人で踊るのがよかった。

監督のトークもあって面白かった!
サインもいただけで、少しお話しできたのも嬉しかった。
まや

まや