樹

茶飲友達の樹のネタバレレビュー・内容・結末

茶飲友達(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

最近、サウナ中に自分の中で思案に暮れている「孤独」についての映画だと聞いて
鑑賞(in名古屋)



本作は身内に先立たれ身寄りの居なくなった高齢者を、同じような境遇に置かれている若者が”familyになろう”を誘い文句にビジネスを始める話かと思いきや、
実際に社会問題になっている高齢者のコールガールという設定を軸に、
年齢に関係なく人間の孤独とその寂しさをどう埋めていくかに焦点を当てている映画
だった。

身寄りの居なくなった高齢者の中で特に印象的だったのは、介護で心身共に疲弊しきっていた女性が、いざ要介護者が居なくなると寂しさで孤独に押しつぶされて自殺すら考えてしまう。めっちゃジレンマですね


身寄りのない若者が何の繋がりもない高齢者と家族になっていく姿に、寂しさを無理やりにでも解消しようとする姿勢が見れた
でもこれも一つのやり方だから否定はできない。しかし、終盤1人の高齢者の失態からその見せかけの家族全体が一瞬のうちに瓦解していくシーンを見て、やっぱり見せかけの家族なんだなぁと見るのがしんどかった。人との繋がり、きずな?って本当に哲学な気がする。

主人公は、自分が随分と幸せな奴だと勘違いしていて、実はただ己の寂しさを人の孤独で埋めているタイプの人だと思った
しかし、これは当てはまる方が多いのではないでしょうか。
小学生の頃、友達の少ない子に対して遊んであげていると上からなあいつも実は自分の寂しさを埋めたいだけだったのかな。

それに人の幸せって何だろうと考えさせられた。
多数のコミュニティに所属していること?
コミュニティが1つ2つでも
そのコミュニティ内で自分の存在がはっきりして、価値のあるものだと感じれる時かな、はたまた彼氏彼女に愛されている時
だろうか
それぞれ幸せの定義は違うと思う
共通して言えることは孤独ではないことが条件なのかもしれない。

だが孤独なのが必ずしも不幸せと直結してるかと言われればそうではない。
私の大好きな岡本太郎はこう言っている
「孤独こそ人間が強烈に生きるバネだ」
この言葉の解釈はこの映画を観る前と後で変わるかもしれません。ぜひ御鑑賞ください。
樹