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茶飲友達のdendohのネタバレレビュー・内容・結末

茶飲友達(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

実話を元にした高齢者向け売春クラブの話。当然に老人が主人公の話と思いきや、話の中心にいたのは若者達だった。

家族と死別する等して、社会との繋がりを築けない老人達。その一方で、クラブを運営する若者達も様々な悩みを抱えている。
・毒親家庭に育った元風俗嬢
・元パン屋でホームレスの父親とうまく行っていない男性
・妊娠した女性(父親が認知しようとしない)

最後の方、いい感じの雰囲気で集合写真を撮ってたあたりで『このまま摘発されないで終わるのかな?』と思った(弁護士のようなスタッフもいたので、うまく逃れられるのかな?とも思った)のだが、しっかり逮捕されたので、流石に安心した。

妊娠した千佳、あんなに親身に対応したのに、最後は火事場泥棒のように金庫の金を持ち逃げ。がなる男性メンバー。一人ずつ去っていく人々。最後に残るマナ。頑張ってファミリーを作りあげたのに、終わる時には、それまでの和気藹々とした雰囲気が嘘のように一気に崩壊するのは何だかリアル。

逮捕されたマナの元に、余命短い母親が面会に来る。しかし『やっぱり血縁こそが至上なのだ』と結論づけて良いのだろうか。血の繋がりがなかったからこそ、マナやティーガールズはあの空間に価値を見出していたのではないかと思えた。深い関係になろうとする男性客に対して松子(若葉)が『これぐらいの関係がちょうど良い』と言ったのもそういう事のように感じた。本当の家族や血縁関係ではない『ファミリー』を彼らは求めていたのではないのか。
無論売春は肯定できないけど、あのファミリーとして過ごした日々もまた至上ではなかったのだろうか。

しかし『ロストケア』に続いてまたもや生活保護の話が出てきた。現代における老人の話というものは、結局若者の貧困の話と表裏一体なのだろう。悲しいけどね。
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