Tenjin

雨を告げる漂流団地のTenjinのレビュー・感想・評価

雨を告げる漂流団地(2022年製作の映画)
3.0
「ペンギン・ハイウェイ」のスタジオ・コロリドの新作ということで見てみましたが、タイトルやPVを見たときの「よくわからない、地味」という悪い予感が当たってしまったようです。

1) 映像は相変わらず素晴らしい。色彩表現が見事で、先進的都市空間から取り残された団地の雰囲気もよく出ていると思います。
2) 音楽も「ペンギン・ハイウェイ」の阿部海太郎さんで、情感あふれるクラシック系のメロディーが作品を一段上に引き上げている感じですね。
3) 問題はシナリオ。最初の30分くらいはとてもワクワクできるのですが、それ以降がかなりグダグダです。サバイバルとは関係ないところで揉めてはまた仲直り、という展開が繰り返されて少々退屈ですね。さしずめ物語が「漂流」しているといったところでしょうか。
4) 「ペンギン~」のお姉さんに当たる不思議な存在がのっぽ君ですが、途中まではテンション低めのキャラかと思えば終盤は割と感情豊かになっていたりして一貫性を欠いている気も。
5) 女のっぽちゃん(?)みたいな子も唐突に出てきて別れを惜しまれていましたけど、親しくなるような描写がなかったので感情移入しにくいですね。のっぽ君と統合しておけばよかったような。
6) 最後があれで、それまでの苦労が意味のないものに感じられるのはいかがなものかと。ファンタジー要素が悪い方に出てしまっている気がします。
7) 主人公がコウスケかナツメかは迷うところですが、一番最初に登場すること、別離の悲しみを克服するというテーマが明確なことを考えるとナツメかと思います。
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