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雨を告げる漂流団地のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

雨を告げる漂流団地(2022年製作の映画)
3.2
ジュブナイル+ファンタジー+サバイバル物

夏休み。
取り壊しの決まった「おばけ団地」に忍び込んだ小6の航介とクラスメート達。
そこで偶然鉢合わせした幼馴染の夏芽。
航介と彼女は姉弟のように仲が良かったけれど、ある出来後をきっかけに関係がギクシャク中。夏芽がいう「のっぽ少年」がいるという話を聞いて屋上へ出たところ、不思議な現象に巻き込まれ、気がつくと大海原で彼らのいた団地だけが漂流していた。

『ペンギンハイウェイ』の石田祐康監督の長編二作目。

楳図かずお先生の『漂流教室』という漫画がありますが"デカい箱物ごと"異世界へ飛ばされてサバイバルするという世界観はわりあい好物

それも異世界漂流、しかも海、団地が船みたく浮かぶし流されてる(小規模な軍艦島っぽさ)サバイバルといっても小6の子供達、出来ることは限られているし、全員が仲良しという訳でもない

航介と夏芽の関係は、強いてなら姉と弟が近い感じなのだけど、彼らが自分の気持ちにきちんと向き合ったり、相手と対話して誤解を解こうとするなどの心理的な段階を踏むのと平行して肉体に訴える……掴みあいのケンカもやる
そこに何となく意識が向く以前の性的なコミニュケーションっぽさが混じるような(単に汚れた眼で観ているだけかw)
互いに本心を言わずギスギスし口論し傷つけ合ってようやく対等な目線になる
不貞腐れても面白くなくても罪悪感から距離感を置いてもそれはストレートな感情のぶつけ合いで大人のような小狡さを持たない子どもだから出来る
 
個人的にはこれけっこう好き
のっぽ少年が当初の予想より事象発生のキーパーソンであるという意味が予想外に弱かったところにずっこけた部分はあるけど付喪神の概念がありそれが好きだし、そういうのあったらいいよねって思ってるからかなあ
何か良かった