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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーのloomerのレビュー・感想・評価

4.5
楽しかった!期待通りのウェルメイドぶりを堪能した。キャラクターたちも、それぞれ魅力的で思わずにこにこしてしまう。一番好きだったのはピーチ姫。かっこよすぎるよ。

ファミコン世代の割には家にファミコンがなく、マリオのゲームは人の家や大学の部室でしかやったことがなかった。そんなわたしでもこの映画に使われてるお馴染みのテーマ曲やゲームのオマージュを楽しめたので、マリオの日本人への浸透ぶりはすごい。要所要所で流れる80-90年代の名曲の使い方も、ベタながらグッと来てしまう。日本人のわたしですらそうなので、海外の観客はもっとだろうなと思う。海外でヒットするのもよく分かる。

マリオたちの設定も絶妙だ。マリオたちはアメリカのイタリア系移民になっていた。イタリア系移民で既に社会の中でマイノリティであるのに加え、一家の中でも落ちこぼれの烙印を押され家族に認められていない存在感というのがマリオとルイージ。「何をやってもだめ」とされる主人公たちがひょんなきっかけで異世界転生する話になっていた。
異世界転生といえば元いた世界での知識を活用して無双するのがあるあるだけど、このマリオでは特に元にいた世界の知識を活用するくだりはない。すごい能力を持っているわけでもないマリオは特別な存在ではないのだ。持っているのは挫けない心だけ。

映画の中でマリオは何度も失敗を繰り返してだんだん思うように体を動かせるようになる。行き詰まった時は何度も「ひらめき」で状況を打開する。ゲームをやったことがある観客の多くは、その体験を知っている。ただ任天堂のキャラクターを映画の中で動かしているだけではなくて、観客の体験を非常にスマートな形で映画にしているからこんなにグッと来るのだなあ。

上映前に任天堂のCMが流れ、「it's me」「it's you」というコピーが出る。マリオはわたしだし、マリオは君だ。上映前に答えを提示してるなんて!
自分がゲームを通して体験したことを映画で追体験できるって、すごく楽しい。少しでもマリオで遊んだことがある人は劇場へぜひ。
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