ロアー

サイレント・ナイトのロアーのレビュー・感想・評価

サイレント・ナイト(2021年製作の映画)
3.6
迫り来る毒ガスによって、もはや死を避けることはできない終末の世界。
ガスで苦しんで死ぬか、その前にピルで安楽死するかという選択を迫られた家族や友人たちが、最後のクリスマスの夜を共に過ごすというお話。

「メランコリア」のような設定ではあるものの、人数が多かったせいかイマイチそれぞれのキャラの掘り下げが足りずにグダグダで終わってしまった感はあったかも知れません。「大人の事情」のような大暴露大会が始まるかと思いきやそうでもなく不完全燃焼で終わったし、どういう感情で観たら良いのか悩むようなブラックユーモアも含め、良くも悪くもイギリス映画でした。

ただ、社会の不平等や安楽死について問う内容や、死に向き合った時のどうしようもない人間らしさの描き方は結構好きでした。
大人だって死ぬのは怖いし、愛する子どもが苦しむ姿なんて見たくないに決まってる。反面、理不尽に未来を奪われたと感じて怒り、僅かな"もしも"を信じたい子どもの気持ちも分かる。これはすごく、すごく難しい選択ではあると思うけど「メランコリア」の感想にも書いたように、私だったら怖いのですぐにピルを飲んで死んでしまいたいです。万が一助かる可能性があったとしてもどうでも良い。生き残ったところで絶対大変だもん。
生き残りと言えば、劇中で終末後の悲惨な世界を描いた「ザ・ロード」が引き合いに出されていたけど、ヴィゴ目当てで昔観た筈なのに全然覚えてないので、後でまた観ようと思いました(忘れないようにメモ)。

ラストも予想のつく展開だったとは言え、ローマン・グリフィン・デイビス演じる息子のアートが家を飛び出してからの内容は子ども相手にも容赦ないエグさだったので、あの胸クソ映画として有名な三文字の映画と肩を並べても良いかも知れないですね。「ジョジョ・ラビット」と良い、ローマン・グリフィン・デイビスってホント独特の雰囲気を持った良い演技するよね。末恐ろしい子役。
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