少年時代にサッカーで大きな怪我を負ってしまった男が、新たなサッカーのルールを作り出そうと試みるお話
社会主義体制のルーマニアや資本主義国家のEU、アメリカの限界性を指摘し、その原因はサッカーにあると考える男性が「誰も傷つかない理想のサッカー」を作り出そうとする。コートを真ん中で分割させることで人の密集を避けさせ、ボールを活発的に動かけるようなルールを考案し実践してみるのだが、どうも上手く行かず...という話の流れは普通にドキュメンタリーとしてなかなか面白い。映画自体のテーマがそうであるように、社会のルールを変えることの困難さを「サッカー」に落とし込んで上手く表せているように見えたし、既存の体制に新たな観点を持ち込むこととしても面白く見えた。
誰も傷つかなくて良いユートピアを理想として作られた社会が、結局は既存の社会体制の再生産に落とし込まれる。歴史やSF小説でもよく見てきた流れなものの、サッカーという普遍的な題材を用いて描くという発想。面白い。
ただ、中盤のインタビューの場面は少し冗長的に思えた。男の人生の背景が新たなサッカールールの思想の元になっている、という意図は分かるのだが、少し長いような...