れん

リコリス・ピザのれんのレビュー・感想・評価

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)
4.8
2人が、青春が、映画が走り出す最高の爽やかな高揚感。個人的な出来事が普遍的に語られながら特別な日常としても溢れ、繰り返し続いていく。なんとも愛おしく滑稽で繊細で大胆で素敵な日常の羅列がこれでもかと詰め込まれ、いつまでも見ていたくなる多幸感に繋がる。映画の素敵な魅力に魅せられ、魔法にかかる、魅せることの出来るポール・トーマス・アンダーソン監督の神がかり的な映画的演出の数々に目が離せなくなる。焦らし焦らされ合いながらも相手への反射的な行動が、想いの強さの表れとなり走り出す。2人の気持ちのベクトルが自分から相手へと一致したとき、動的に映画が躍動する。クーパー・ホフマンとアラナ・ハイムの組み合わせが見事すぎて素敵で尊い。脇役に大物俳優をメタ的なキャスティングに据えているのも可笑しいしお話としては良い意味でとっ散らかりながらもばっちり画が締まる。デヴィッド・ボウイのLife on Mars?の使い方もなるほどと唸るし音楽使いも気が利いてるし最高。ポール・トーマス・アンダーソン監督の身内映画的側面もありつつ、間口は広くかなり開かれた青春映画。
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