東京国際映画祭グランプリ
ヴェネツィア映画祭のオリゾンテ部門でプレミアされた女性監督による作品。
これはグランプリも納得の素晴らしい作品。この短さの中で男性中心の社会における女性の生き方の提示や映画的な美しさも兼ね備えている。これが長編デビューとは思えない質の高さだ。
カンヌやヴェネツィアと女性監督の台頭が際立つ今、イザベル・ユペールがこれをグランプリに選んだというのはすごく納得がいく。もちろん監督が女性かどうかなんて作品には全く関係ないのだけど。
Q&Aの映像も見たが、とても聡明そうな監督さんで好感を持った。間違いなくこの人はこれから伸びていく存在だ。
ヴェラは勝負には勝てなかった。でも勝負に勝つかどうかというのが問題ではなく、彼女が人生の終幕になって男性中心の社会に挑んだということこそが最も意味のあることだ。
終盤娘に言われる一言とその終わり方に唸らされた。女性は男性の従属物じゃない。私はここにいるんだという力強いメッセージを受け取った。