いつもいっちゃん

母の聖戦/市民のいつもいっちゃんのレビュー・感想・評価

母の聖戦/市民(2021年製作の映画)
4.6
娘を誘拐された母の一線を越えた戦い。
またメキシコからとんでもない衝撃的な映画が生まれました。
ただただ苦しい。

メキシコの治安の悪さ、地域ぐるみの誘拐ビジネスの恐怖。貧困が生む負の連鎖。
この誘拐がビジネス化されたこの街に存在する、軍の特殊部隊。
誘拐犯も特殊部隊も目的の為なら殺しをも厭わない。
そして街がギャングの若者と特殊部隊との戦場へと化す。
娘の奪還の為、特殊部隊の暴力に加担してしまう母の姿が痛々しくもリアリティがあり目が離せない。
いつの間にか母と誘拐犯の立ち位置が変わりゆく様も後の苦い余韻に繋がる。
別居中の旦那は娘が誘拐されたことを妻のせいにし、理解すら示さない。
そして自分が孤独になった時に妻に擦り寄ってくる場面は腹ただしい。
その中、彼女に待ち受ける運命と選択が重くのしかかる。
しかしあのラストシーンは、、、
誘拐ビジネスの奥深い闇と、誘拐された子供を待つ女性たちの悲痛な想い。
見応えもあり、目を向けるべき1つの現実が存在することをこの映画は刻んでいますね。