ファティ・アキン監督最新作は実在した破天荒ラッパーの伝記ドラマ。
流石ファティ・アキン。
ちゃんと作品の面白さと安定のクオリティを担保している。
音楽家一族の元に生まれた男はいかにして金塊を盗み、数々の犯罪歴を経てラッパーに転身したのか。
時にシリアスに、時にユーモアを交えた演出で駆け抜ける140分。
クラシック音楽の元で育ってきた少年が、喧嘩を習得し暴力でのし上がっていく。
親がクラシック音楽家であることからどうラップに近づいていくのか。
ラッパーとしてその道にたどり着いていくという過程で常に音楽がそこにある。
犯罪と暴力の過程に常に運命づけられるラップが潜伏し、その運命が開花していくまでを軽快に展開していく。
世界情勢に加えてエンタメ性あるストーリー。
イケイケなスコセッシ映画っぽい部分も楽しい。
自分の人生を切り開いていくまでの物語を、悪いことも含めてサクセスストーリーとして繋いだ奇跡のような作品でした。
この数奇な運命をただ流されるように観ていくのも非常に映画的に面白さを感じました。
ファティ・アキン監督の新たな幅が見られた。
良作！
