あゆみ

マイスモールランドのあゆみのレビュー・感想・評価

マイスモールランド(2022年製作の映画)
4.2
「私たちには居場所が必要だ。誰もがこの地球上の『どこか』に、今日も明日も変わらず安心して暮らし、眠れるためのスペースを必要としている。その居場所は単なる物理的な場所であるだけでは足りず、人間であることの権利に根ざしていなければならない。それらは一人ひとりが望むように生き、学び、働き、同じ社会の大多数の人々が共有する様々な機会から排除されないことを保障する。その内側にいるとほとんど意識されない半透明の膜のようなもので、この地球は幾重にも分割されている」
パンフレットの望月優大さんのコラムより。

フィクションだから描ける現実がある。劇中で起こっている事象は、私が普段意識しない膜のすぐ側で起こっている。

学生なのに、好きな勉強に専念したり友達と普通に遊んだりできない。働くことが許されない。自由に県をまたいで旅行することができない。家族と一緒に生活することができない。自由に満足に食事することができない。家賃をきちんと支払い、安心して家で寝ることができない。人権侵害というのは、ただただ、当たり前の日常を生きる権利を奪うことだ。

長年気になっていた十条のクルド料理店メソポタミアへようやく行った。優しくて美味しくて、マトンの風味にどことなく乾燥地帯の風情を想像して。東京ですらまだまだ知らない街の顔がある。
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