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マイスモールランドのTのネタバレレビュー・内容・結末

マイスモールランド(2022年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

カミングアウトしておこう。
嵐莉菜ことリナ・カーフィザデー。
超絶推しでした。
去年の春くらいかな?
たまたま見つけた一枚の写真から一目でヤラれた。
あのなんともいえん目力。
ごく幼い一面を見せたかと思えば、
制服を着たり大人っぽい服装をすると抜群の魅力。まあ?見つけた当時は、彼女まだ17歳でしたから周囲からは非難轟轟。心配される始末だったが、やっと残酷な現実を直視するため、ひとりコッそり観ましたよ。

映画の話しをしましょう。
非常にセンシティブな問題を扱っている。
謂れなき迫害を受けた「母国」を領土として持たぬ、超大国の風車の如く扱われるクルド族と呼ばれる人々のうちの、政治的亡命希望者とその家族が、
この相互監視の強力な実質的社会主義国である"日本国"なる沈みゆく戦艦大和特攻艤装のごとし態を様する大国に於いて、
如何に日々の糧を得て雨風を凌ぐか。

其処には日本の地政・地勢と歴史。
海を隔てた隣国との関係性も含み、
またイスラム諸国の政治には基本的に不干渉を決めこんできた対外政策もあり、
先の大戦の民族同化施策の失敗から、
行政システムの機能不全の問題からも、
私には到底想像もつかなかった空白の域であった。

初見、あまりのサーリャの美しさへの絶望感から、次の日は一日寝込んでしまったのだが、後日見直してコトの重大さを思い知った。

最後の父娘の対面。
アクリル板の向こう、父が去っていく鉄扉の閉まる音は、無辜の人間が愛する子等を沈みゆくこの国に一縷の望みを見いだし、預け、死刑台のある部屋へと向かう音だったのだ。

そして、尚それでもラストシーンで手と顔を清め、祈りの言葉の途中で鏡をガっと見つめる彼女の顔は幼さなど微塵も無く、其れはまるで戦士が戦場に征く表情だった。

しかし、アト三十歳俺がワカけりゃな、百万が一ワンチャンあったかもなあ、、、とボヤいて平和ボケしたところで生存報告としておきます。

本年も、勝手気まぐれな愚生のレビューを根気よく暖かい眼差しで見守っていただき、たくさんのいいねや感想をいただき、
感謝の念に耐えません。

よいホリデーシーズンを。
少し早いようですがよいお年を。
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