シナリオから先に読んだのでヒロインの少女の虚ろう気持ちがすんなり分かった。良い脚本だった。
埼玉から東京へ行く橋の上の県境の描き方が良い。東京のコンビニにいる時にだけ彼女は違う自分になれると思っていた。
けれどそれはあくまで自分を誤魔化していたに過ぎない。コンビニで知り合った少年にだけ彼女は自分の出自を打ち明ける。
少年の大阪行きの夢に彼女は自分も行きたいと想いをはせる。
しかしそれは家族とクルド人コミュニティの間でしか生きられない彼女にとっては許されないことで、その現実の中で生きてゆく決意を眼差しに込めた嵐莉奈のお芝居が力強くて素晴らしい。
色々な意見もあるようだがボクは素直に映画に感動したし、あくまでこれは一人の少女の成長を描いた作品であると思う。