Jonayama

悪魔のビンゴカードのJonayamaのレビュー・感想・評価

悪魔のビンゴカード(2021年製作の映画)
4.1
Welcome To The Blumhouseシリーズ5作目は前4作とは打って変わってホラーコメディ路線。

やや強引で傲慢なところもあるが街のみんなをまとめ上げる強いおばあちゃんルピタは地元オークスプリングスをこよなく愛している。
しかし近年、若者の流出で廃れる一方だった街に大きな企業がやってきて富裕層や"ヒップスター"たちが増え始め、変わりゆく街並みに彼女は不快感を覚えていた。
先日も妻を失った古い友人、マリオが街を去ることを知らされたが夢を持てないオークスプリングスを出ることに皆内心では憧れを抱いていた。

そんな折、マリオが所有していた街の人々の憩いの場であった寂れたビンゴホールに突然新たなオーナーがつき営業を再開することになった。
派手なチラシで街の皆の注目を一手に集める新たなビンゴホールを訝しんだルピタは仲間たちを連れて"挨拶"をしに乗り込む。そこには怪しげな支配人と一晩で用意したとは思えないネオンが煌々と輝くビンゴゲームの会場が広がっていた。


個人的に好きなジジババコメディ系の作品で前半は日常系コメディ、中盤あたりからなんだか雲行きが怪しくなり不気味なホラー路線へとなだれ込むエドガー・ライト監督の『ワールズ・エンド』を思わせる二段構えの脚本が印象的。

一見、仲間愛で結ばれて幸せに暮らしているが内心では閉塞感のある人生の逆転を求めており、その心の隙間に悪魔が"お金"をチラつかせつけ込んでくるという悪魔の誘惑をテーマにした寓話的なストーリーで日本人の自分達には『世にも奇妙な物語』ライクなお話に映るかもしれない。

徐々に住人が悪魔に魅入られ魂を奪われていく不気味な怖さと郷土愛に燃えるバーちゃんの痛快な奮闘ぶりという一見別ジャンルの楽しみ方が同時に味わえる不思議な魅力を持った作品だと思う。


ただコメディとはいえ廃れた街が舞台でキャストの平均年齢高めな作品なので若さや美男美女が乱舞する派手な映画を求めている人には地味過ぎる作品かもしれない…
芸達者な熟年キャストたちの演技やおそらく低予算系だがミュージックビデオを思わせる細かいカット編集や工夫を凝らしたカメラワークなど見どころが非常に多く、自分を見つめ直しハッピーエンドで綺麗に終わるラストも含め個人的にはとても満足のいく作品だった。
どこか懐かしいややスプラッター気味なホラー描写もファンには好物かも(個人的にはスプラッターは苦手だがw)。


いやはやかなりの低評価なのが悲しい。。みんな上手いがルピタ役のアドリアナ・バラッザさんの演技最高。
ちなみにちょっとネタバレになるがこのWelcome To The Blumhouseシリーズ、8作中既に6作鑑賞したがハッピーエンドは今のところ本作のみだ(笑)
Jonayama

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