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ザ・トリップのRのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・トリップ(2021年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2021年のノルウェーの作品。

監督は「バイオレント・ナイト」のトミー・ウィルコラ。

あらすじ

映画監督のラーシュ(アクセル・ヘニー「SISU 不死身の男」)と女優のリサ(ノオミ・ラパス「アサシン・クラブ」)の夫婦の仲は冷え切っていた。そんな中、ある週末に別荘の山小屋に向かうことになるのだが、夫婦はそれぞれお互いを殺す計画を企てていた。

Netflixにて、無作為に選んだ中から。

お話はあらすじの通り、宇多丸さんの言葉を借りるなら序盤こそ「倦怠夫婦もの」…なんだけど、監督が今年序盤で快作「バイオレント・ナイト」を打ち出したトミー・ウィルコラということで一筋縄ではいかないものとなっている。

で、主演の倦怠夫婦を演じる2人が良い。奥さんのリサを演じたノオミ・ラパスは今作では金髪でそのキツめの顔立ちを生かした高飛車そうに見えるキャラを好演しているんだけど、注目すべきは旦那のラーシュを演じたアクセル・ヘニー。この漫画みたいなめちゃくちゃカッコいい名前とそれに反したタコ入道みたいなスキンヘッドで目がギョロギョロの特徴的な顔立ちで印象に残っている人もいると思うんだけど、近々で出ている作品を挙げると今絶賛公開中の「SISU 不死身の男」でナチスの将軍を演じたあの人です。

今作では冴えない夫を演じているんだけど、後半にかけてどんどんバイオレンス度が増していくにつれて、血だらけの傷だらけになって、殺人鬼みたいな顔の凶悪さが全面に出てくるところが良い!!他にもちょいちょい色んな作品出てるみたいだし、これから要注目なおじさん俳優かも。

で、この夫婦あらすじにも書いたようにお互いを山小屋で殺そうとするんだけど、そこから二転三転していくところが面白い。初めはラーシュ視点から遂に奥さんを殺す!ってところで奥さんの方からカウンターを仕掛けて身動き取れない状態にして、ラーシュピンチ!のところで今度はラーシュの馬鹿で卑近な悪友ヴィクトル(スティッグ・フローデ・ヘンリクセン)が現れたり、付近で脱走したらしい囚人3人組が現れたり、終盤ではラーシュの父親ミッケル(ニルス・オーレ・オフテブロ)も参戦したりして、血で血を洗う争いに発展していく!!

ただ、今作コメディ的な部分が強くて、特に中盤から現れる3人組が良い。みんな巨漢でコワモテ揃いなんだけど、リーダーのペッカー(ジャップ・ベック・ラウルセン)は理性的で意外に博識だったり、割と三人の中では小綺麗なデイヴ(クリスティアン・ルーベック「セブン・シスターズ」)は「クィア・デイヴ」と呼ばれる男色で馬並みのペニスを持っていたり、特に三人の中では1番コワモテでナチスの刺青がびっしりと掘られたヤバそうなやつながら、1番間抜けなロイ(テック・ロック)が面白くて、脱走していきなり「腹減った!」と森に生えてた野生のベリーを食べちゃうんだけど、それで腹壊して隠れていた山小屋の屋根裏で2人の前でいきなりブリブリしちゃう💩シーンはマジで笑った!!

また、監督お得意のバイオレンスシーンも良くて、ヴィクトルが背後からラーシュにショットガンで背中撃たれて吹っ飛ぶところとか、ロイとの戦闘シーンで夫婦共闘の流れに入って、ワインのビンや冷蔵庫をぶっ壊しながら戦うところだったり、そこでのショットガンでロイの頭が粉々になっちゃうところとか、特にショットガンの銃器シーンが痛そうなところが多かった。

まぁ、ただ二転三転するストーリーでバイオレンス度も高いのは確かなんだけど、観客の予想の斜め上を行く!ハードルは超えてこない感じ。夫婦も結局、この一連の出来事でなんか知らんうちに仲深めていっちゃって、最期どっちかが助けると思いきや、殺すくらいやるかなーと思ったんだけど。

ただ、全部終わった後、この山小屋皆殺し事件を自身で映画化して、鳴かず飛ばずだった監督と女優だった2人がスターダムにのしあがっていく逞しい商売根性ラストは良かったかな。

かなり小品な作品だけど、それなりに面白かったです。
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