岡田

オッペンハイマーの岡田のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
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この監督自体そんなに好きではないけど今の時代に欧米人が原爆の父をどう描くのか興味があり駐在先のロンドンで鑑賞。
これは日本人が見るのとそれ以外の国の人が見るのとではたぶん感じ方はかなり違うと思う。
3時間ほぼ全編通して会話劇なので興味ない人にとってはかなり苦痛かも。
後半は主に原爆を作ってしまったことに苦悩するオッペンハイマーを描いているが、実際は日本へ投下することも賛成していたし彼はあそこまで後悔はしてなかったはず。
過去のドキュメンタリーではむしろ物理学者として戦果をあげたことに歓喜していたとさえ伝えられているので映画化する際に人物像を現代的に美化している印象は拭えない。
”悪魔の兵器を作ったオレ凄い”的なオッペンハイマーと、”その男を題材にビッグバジェットで映画撮ったオレ凄い”のノーランが持つナルシズム的な要素は似てると言えば似てるのかも。
日本人の自分にとってそこは鼻につくとこではある。
クソったれ西洋人め。
あと、この映画で一番引っかかったのは広島と長崎の直接的な投下描写がないこと。
なぜ一番重要な部分を真正面から描かないんだ?
そこを重要と思ってない時点でやはり戦勝国の欧米人が作っているんだということを再認識した。
監督はオッペンハイマーの視点で描いてるから描写してないんだと言ってるけどさすがにその言い訳は無理ないか?
彼の視点以外のシーンはたくさんあるんだけど...
それを言うなら全編彼の一人称視点で撮るべきだったのでは?
もし逃げずにちゃんと広島と長崎の悲惨さを映像で再現していたらこの映画を少しは評価できたと思うのだが、結局 なんだかんだ米英を擁護した他国の人が見ても毒にも薬にもならない中途半端な内容に感じた。
英米のキャスト&スタッフだから予想はしてたけど私には終始イラ立つだけの映画だった。
この作品を好評価する日本人も多くいると思うが私はどうしても無理!
こればっかりは理屈じゃないんだよな...
岡田

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