拝一刀

オッペンハイマーの拝一刀のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.9
★2024/04/17㈬109シネマズ二子玉川にてIMAXで三回目の鑑賞

見れば見るほど理解が深まり面白さが増してくる正真正銘の傑作です。

出世欲の強いストローズが才能溢れるオッペンハイマーに対して《愛憎入り交じる感情》を抱きながら接する様子は、映画「アマデウス」によく似ていると思います。

***************************
★2024/04/01㈪イオンシネマ港北ニュータウンにてニ回目の鑑賞。

一回目の鑑賞で購入したパンフレットを読み終えて、ネット上の様々なレビューや動画も調べたあとの鑑賞です。

映画の冒頭にfission(分裂)とfusion(融合)という2つの言葉が映し出されます。

前者が"fission bomb"(核分裂爆弾)つまり『原爆』を、後者が"fusion bomb"(核融合爆弾)つまり『水爆』をイメージさせる道具になっています。

そしてオッペンハイマーは同じ「核兵器」であるにもかかわらず、原爆開発に取り組む一方で、水爆開発には反対するという相矛盾した態度を取るわけです。

ここで生まれる「葛藤により引き裂かれた人格」こそがこの映画の重要なポイントなのでしょう。

ノーラン監督は映画『ダーク・ナイト』の中で善と悪の相対化に成功しました。

そして『オッペンハイマー』では善悪のみならず、
「分裂と融合」
「理想と現実」
「理論と実験」
「栄光と転落」
「正常と異常」
などの対立物が一本の作品の中で次々と現れ出てきます。

ビカソの絵画「Woman sitting with arms crossed」や、エリオットの詩「荒地」など、映画全体の内容を暗示するような物の画像がほんの一瞬映し出されるなど、鑑賞にあたり、相当な知的緊張が要求される作品です。

老婆心ながらこの作品の鑑賞には
①相対性理論と量子力学との関係。
②原爆製作のための「マンハッタン計画」の概要。
③アメリカの政治史における赤狩り(マッカーシー)旋風。
④アメリカが政策を決めるに時によく開かれる「聴聞会」と「公聴会」というシステム。

これらについての知識が必要な作品だと思います。

恐らく3回目も見に行きます(IMAXレーザーで)。

***************************
★2024/03/29㈮イオンシネマ港北ニュータウンにて一回目の鑑賞。
手に汗握る展開で3時間余りがあっという間。とても興味深い作品でした。
パンフレットを買ってきたので熟読してからもう一度見に行きます。
拝一刀

拝一刀