とむ

オッペンハイマーのとむのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.7

人生初IMAXをこの映画で体験。良かった。浴びた。


悲しみでも感動でもない、不思議な涙が流れた。よく分からないけど心が揺さぶられたのだと思う。

特に、熱狂する観客たちの前で、おそらく本心とは違う、求められている言葉を高らかに演説するとき。
心が、世界が、壊れていくような感じが、主演の絶妙な演技と、音と光の圧で迫ってきて圧倒された。

人が、世界を滅ぼす力を産み出すとはどういうことか、普通の人間には絶対にあり得ない人生を、実感を伴って感じさせてくれる映画の力を感じた。


一方の、サブで進むモノクロの物語の視野の狭さよ…。

とてもパーソナルな、嫉妬や憎悪、執念みたいなものは、プロメテウスの壮大な物語に対してあまりにも矮小で情けないものだけど、それもまたとても人間的で、(善悪ではなく物語として)良かった。


三時間ぶっ通しの会話劇、ハイテンポで長さを感じさせなかった。
登場人物は多いけど、名前だけ出てくるようなときにも一瞬回想で顔を見せてくれるから、ノーランにしては相当優しいつくりというか、分かりやすくしてくれようとしていたと思う。

オッペンハイマーが主役な以上、広島や長崎の触れ方もこれが正解なんじゃないかと思う。

予告編でラストの超重要なシーンをあんなに使っていたのが驚き。
アインシュタインが可愛かった。


もう少し勉強してからまた観直そうと思う。

唯一、トリニティ実験の特撮映像が、実写であるがゆえにとても核エネルギーには及ばない物足りなさがあり、そこはCGでも良かったのでは、と思った。
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