このレビューはネタバレを含みます
ノーランと共にキャリアを築いてきたと言っても過言ではないキリアンが遂に主演に
内容はともかく彼の演技だけでもキリアン好きとしては堪らない作品であったことは間違いない
（ピーキーブラインダーズでのゴリゴリのバーミンガムアクセントに慣れているのでアメリカ英語を話す姿に新鮮さと役作りの極みを感じる）
トリニティまでの過程を描いているパートは理論物理学のアベンジャーズみたいな感じで、その道に詳しい人からしたら脳汁ものなんだろうと感じつつ、物理学全般、量子力学についてはズブの素人であり、その辺の内容には殆どついていけず
一方、聴聞会、公聴会パートでの舌戦が圧巻で、史学的、政治的コンテキスト含めこちらは大好物（あとゲイリーオールドマン大統領のシーンはもうガッツポーズしたいくらい最高でした。）
トリニティ実験のシーンについては、、、
どんな言葉でも霞むレベルで凄かった
あんなの作れるのノーランしかいない、だろう
ただもっとも重要だと思われる原爆投下についての氏の葛藤、氏が内包するパラドクスについての描写はノーラン映画で初めて彼の表現者としての限界を感じた点だった
様々な制約の中で作られたものだということは想像に難くないが、やはり直接的な表現なしにそれを描くのはいくらノーランでも限界があるんだなと感じた（そのチャレンジを目の当たりにできたこと自体は素晴らしい点だった）
日本人なら史実として必ず目にしたことがあるであろうあの惨状
知っているからこそ補完することができるのか、
はたまた知っているからこそ生温いと感じるのか
自分は後者だった
散々語られているだろうこの映画の傑出した点についてその大半はその通りだと思う
ただ映画は現実を超える表現が可能だと十分に証明されたこの現代において、与えられた枷に対してのノーランの限界を感じたというのも事実
そんな視点でこの映画を見られるのは日本人の特権だとも感じた
追記:予告で流れたフュリオサのトレーラーが爆音で最高すぎて若干意識をV8にもっていかれかけました、、、とさ
