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オッペンハイマーのkaoruiのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
善悪も保守も共産主義も、時間軸でさえも解体し、膨大な破片を並べ直し原爆投下に向けて編み込み剛腕でねじ伏せていくノーランはやはり只者ではない。
序盤の解体された断片の洪水に溺れアップアップしながらも物理学のヒーロー達が登場するたびに興奮気味に観ていた(大学時代、僕は物理学を専攻していたのです。ボーア!ハイゼンベルク!ラビ!ボンゴを叩くファインマン!)前半、転じて全てが未曾有の大量殺戮に繋がっていることを知っている僕達は暗黒のカタルシスに雪崩れ落ちていく悲劇を見守ることになる。
オッペンハイマーの顔を照らす窓から差し込む冷たい光、遅れてやってくる爆音。ノーランの撮りたかった画。
思いを巡らすしかないのだが、8月6日に日本で生まれた僕は冷たい高揚の中に深い悔恨を見た。
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